衷心より哀悼の意を表します

私の恩師(師匠)であり、尊敬する余語トシヒロ先生が、2021年12月30日にご逝去されました(享年81歳)。

先生は日本工営株式会社、国連地域開発センター(UNCRD)、国連開発計画(UNDP)を経て日本福祉大学に赴任され(九州大学大学院比較社会研究院学外教授も兼務)、同大学では通信教育部(福祉経営学部)、大学院国際社会開発研究科(修士・博士)の創設責任者として立ち上げと運営に関わり、国際福祉開発学部の開設においても中心的な役割を果たされてきました。これまでに10万人近くの社会福祉、国際協力、地域開発、企業経営にかかわる高度人材が先生の作られた学部・大学院を卒業・修了し、各界において活躍しています。また学問領域においても、独自の地域社会に関する分析視点から、国際協力、国際福祉、農村開発の分野において多大なる貢献をされてきました。

私は学生時代から公私にわたって大変お世話になっており、薫陶を受けるとともに、先生の学問体系(いわゆる余語理論)に大きな影響を受けてきました。社会事象を分析するための非常に難解な先生の諸理論を、何とか少しでも理解したいという思いで、若い頃に何日も徹夜をして考えを巡らしていたことが、いまの私の力の源になっています。

複雑な社会事象を読み解くモノの見方に加えて、実践者としての行動力、問題を解決する力、効率的な仕事の仕方、対人コミュニケーション力、プロジェクト計画法など、様々なことを先生に教えていただき(合わせて研究室でアルバイトをしながら先生の背中を見て学び取り)、今日の私があるのも全て先生のおかげであると感謝しています。博士論文を執筆している際には常に厳しく、かつ緻密で理論的な指導を頂くとともに、研究の場を離れるとまるで家族のように暖かく接し続けて頂き、このご恩は決して忘れることができません。

これからも余語理論を継承するひとりとして、先生のおっしゃっていた「理論と実態の両方をしっかりと踏まえて」、国内外に山積する課題解決と研究に取り組んでいきたいと考えています。また先生の理論は、必ず次世代に引き継いでいきます。

これまでの先生のご厚情に対し深く感謝するとともに、謹んで哀悼の意を表します。

令和4年1月12日 

綾部 誠